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シャーロックホームズの宇宙戦争 [本と雑誌]


シャーロック・ホームズの宇宙戦争 (創元SF文庫)

シャーロック・ホームズの宇宙戦争 (創元SF文庫)

  • 作者: M・W・ウェルマン&W・ウェルマン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1980/06
  • メディア: 文庫


今月のSFノルマはマンリー・W・ウェルマンとウェイド・ウェルマン親子の共著。

今月は著者つながりではなく書店でタイトル見て一発買い。


いやだって。読むでしょう。これは(笑)


さて内容はというと、HGウェルズの宇宙戦争とシャーロックホームズシリーズを合体させたような代物。

ウェルズのSF小説「宇宙戦争」を下敷きに、舞台となったロンドンに同時期に居たことになるシャールック・ホームズが、あの災厄に直面したらいかなる行動をとるか、というお話でした。

コナン・ドイルのヒーローとして、もう一人の主人公枠にチャレンジャー教授が出演しています。

宇宙戦争は読んでて、ホームズは角川の新薬版を出ている分は読んだ状態でしたので大体の背景はつかみながら読めたのは幸運でした。

惜しむらくは、チャレンジャー教授の原典が未読だったことですか。これ読む前にそっち読んでおこうと思って、この本掴んでそのまま書店内探したのですが見当たらなかったのが残念でしたが、読んでみた感じでは大した不都合はありませんでしたな。

さて、先述の通り、ウェルズの作品が下敷きとなりますが、あれが主題だとホームズとチャレンジャーが主人公になる余地がないため、作中ではウェルズを「宇宙戦争」という報告を世に出したが、その内容には不備や偽りがある、という解釈で、都合の悪い部分は原典を否定する方向になっています。

まあコラボ作品ではよくある手法ですが、これのおかげでワトスン博士のウェルズへの批判記事が読めるという面白い側面もありました。

ホームズシリーズは、主に記録者であるワトスンの視点から描かれていますが、本作ではワトスンの居ない場面が多々あり、ホームズ視点で描かれているあたりは大分興味深かったです。

同時にチャレンジャー教授サイトも奇想天外、豪放磊落で迫力がありました。

3人が協力して火星人と対決するくだりなどは読みごたえもあり、なかなかに面白かったです。

イロモノといえばイロモノですが、それぞれの原典をよく分析しているようで、読んでいてあまり違和感は感じません。

一部、ワトスンの視点では見れなかったホームズの素の部分などは若干あれ?と思う部分もありますが、ワトスンが登場してからはその辺の理由付けもされたので、読み終えてみれば目くじら立てるような部分ではないですね。

面白かったですが、最低限「宇宙戦争」は読んでからのが楽しめると思います。

良い読書でした。

スは宇宙(スペース)のス [本と雑誌]


スは宇宙(スペース)のス (創元SF文庫)

スは宇宙(スペース)のス (創元SF文庫)

  • 作者: レイ・ブラッドベリ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1971/10/08
  • メディア: 文庫



今月のSFノルマはレイ・ブラッドベリ。

短編には定評のある御大の自薦短編集です。

個人的にはブラッドベリは魅力的な短編を表してくれる素敵な作家という認識でしたので、今回の本は結構楽しませて読ませていただきました。

ハードSFに分類されると思いますが、今回まとめられている作品たちは、どちらかというと怪奇物に近い雰囲気。

人知れず忍び寄る恐怖や、日常の些細な違和感から発展する危機。蘇る死体、人間の不可解なミューテーション、いつの間にか人間を支配しているキノコなどなど。

バリエーション豊かな世界と恐怖が詰まってます。

SFというよりも哲学的な話などもあって、読んでいて飽きませんでした。

一通り読んだ中では、1編目の「さなぎ」がなかなかに怖く面白く。

人間が不可解な放射線の影響でさなぎになって今うという話。

「彼」の治療というか検査というかに臨む二人の医師は、一方は「彼」をひどく憎み、あまつさえ殺そうと詩。

一方は、間もなく目の前で繰り広げられるであろう、新たな人類の誕生に狂おしいほどの歓喜を見せる。

そして結末は…

思わずアッと言わされるオチが待っているのも面白いです。

上げて落とすのは、エンターテインメントの基本ですねえ。

大変面白く、また創作の勉強になる読書でした。

さて来月は何を読もうかねえ。

非Aの世界 [本と雑誌]

今月のSFノルマはA・E・ヴァン・ヴォークト。

昔読んでいた成恵の世界という漫画作品のタイトル元ということで読んでみました。

ギルバート・ゴッセンは、理想郷金星への切符を得ることができる<ゲーム>の参加者として、世界のバランスを保つ<機械>の町に降り立ちます。

彼は絶対の自信をもってゲーム最初の試練に臨みますが、自分が実は偽りの記憶を植え付けられた人間で、プロフィールもでたらめだったという、予想外すぎる理由でゲームからはじき出されてしまいます。

一体何がおきたのか。非アリストテレス的思考、すなわち非A的思考を身に着けている非A人である彼は状況の分析を始めるのですが、それもおぼつかないうちに次々とトラブルが枯れの身に降りかかります。

やがて彼野図のには秘密があり、それをめぐってさまざまな陰謀が絡み合い、全銀河的な戦争に巻き込まれていくのですが、すべてが実は…?

という話、と言っていいのか。

なかなかにあらすじの書きにくい作品ですね。

名作と言われるだけあって面白くはあったのですが、あまり好みではありませんでした。

主人公ゴッセンの一人称で語られる物語なのですが、しょっぱなからその主人公の記憶が偽りだったということで、何を信じていいのかわからないうちに話が進みます。

ゴッセンも読んでいる身としては右往左往しているだけで状況に流されるままに最終局面に行くような感じがするので、うーん。

SFアイデアは素晴らしく、テンポもよいですが、内容がぶっちゃけ支離滅裂なのでイマイチ入り込めませんでした。

解説によると、そのめちゃくちゃさがこの作者の魅力らしいので、単に向かなかっただけですね。

人を選ぶ作品です。

楽しめたかというと微妙ですが、様々な展開とアイデアが勉強になったので、悪い読書ではなかったと思います。


さてSF在庫が尽きたのでまた仕入れてこないとなー。

次は何読もうかしらね。

非Aの世界【新版】 (創元SF文庫)

非Aの世界【新版】 (創元SF文庫)

  • 作者: A・E・ヴァン・ヴォークト
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/02/27
  • メディア: 文庫



成恵の世界(1)<成恵の世界> (角川コミックス・エース)

成恵の世界(1)<成恵の世界> (角川コミックス・エース)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2006/10/01
  • メディア: Kindle版



現代萌衛星図鑑第2集 [本と雑誌]

今月のSFノルマはしきしまふげんさん、へかとんさん。

実際の宇宙機を紹介した本ですのでF(フィクション)ではないのですが、もはや現代は、かつて夢見たSFの時代に追いついてきており、その先端としてのこの本はSFの勉強として十分と思います。

さて第二集です。

2014年出版の本ですので、大体二年弱前の日本御宇宙機を紹介した本になります。

とりあげられているのは、小惑星探査機「はやぶさ」の帰還、月周回衛星「かぐや」、陸域観測衛星「だいち」、超小型地球観測実証衛星「ひとみ」、金星探査機「あかつき」。

そしてあの、小惑星探査機「はやぶさ2」

どれ一つとっても、日本が誇る子達です。

今回は、昨今主流になりつつあり、相乗り衛星のひとつとして「ひとみ」が取り上げられているのも面白いです。

相乗り衛星は比較的低コストで宇宙に送り出せるので、実に様々な人や学校、企業や団体がバリエーション豊かな衛星を送り出しています。

そのあたり興味はありつつも、きちんとした記事を読んだことがなかったので、今回よくまとめられた記事を読めたのは得難い機会でした。

このお二人がコミケで出された同人誌から僕の宇宙機好きは始まっていますが、好きと言っても技術的に難しい話はちんぷんかんぷんなので、この本のように読みやすく切り絵にまとめられている本はうれしいですね。

萌え衛星ということで、それぞれの宇宙機がかわいらしく擬人化されているのも魅力。

フルカラーの冊子となりますので彩鮮やかに宇宙機たちや、彼ら彼女らがカメラに収めた宇宙の写真を楽しむことができます。

この本の魅力としてhもう一つ、宇宙機だけでなく、それを取り巻く人々や、ファンの人たちの活動や声援も感じられるあたり、宇宙機が外からどう見られているか、という視点も見れるのが楽しいです。

自分も声援を送っている一人なので、そうそうこんな感じだよ、と共感する部分も多々あり。

読み物としても面白い一冊でした。

リアルタイムから少し遅れて読んだので、まとめられている記事から少し先の時代を生きている身としては、「あかつき」ミッションのその後についてや、「はやぶさ2」の打ち上げ成功などのニュースも懐かしく思い出しながら読むのも楽しかったです。


そう考えると、宇宙開発というのは、歴史の中のと多い出来事ではなく、まさにリアルタイムで進んでいるのだなあと実感できるのもよいですね。

大変良い本、よい読書でした。

読み始めたら一気に読んでしまった、おもしろかったー。


現代萌衛星図鑑 第2集

現代萌衛星図鑑 第2集

  • 作者: しきしまふげん
  • 出版社/メーカー: 三才ブックス
  • 発売日: 2014/11/19
  • メディア: 単行本



火星の人(下) [本と雑誌]

今月のSFノルマは先月に引き続きアンディ・ウィアー。

先月読んだのの下巻ですね。

起死回生のサプライ送付ミッションが失敗に終わり、火星に一人残されたマーク・ワトニーの命はまさに風前の灯火。

それでも彼も、彼をバックアップするNASAはあきらめないという。

実にあきらめの悪い男たちの物語がどのような結末を迎えるかは、実際読んでいただくのがよいかと。

映画とは若干違う展開なので映画見た人でもまた違った面白さを見つけることができます。

上巻では火星での農場建設シミュレーションが山場ですが、下巻では打ち上げ船への超長距離旅行が山場となります。

解説で「火星に居れば放っておいても勝手に危機と山場がやってくる」とあるように、生存するだけで難しい環境でのサバイバルは試練の連続です。

そのひとつひとつを、多少幸運に恵まれすぎてるきらいはありますが、説得力のある手段で乗り越えていくのは読んでいて予測がつかずに面白かったです。

一通り読んでみると、映画は原作にかなり忠実に描かれていたのだなあと驚きました。

この手の作品は原作からかけ離れたものになることも多いですが、「オデッセイ」は、尺の都合でのエピソードの省略や、よりドラマチックなシチュエーションへの演出は見られるものの、ほぼ原作を忠実に辿っています。

映画を楽しめた人なら小説も存分に楽しめるのではないかと思います。

大変良い読書でした。

さて来月は何を読もうか。

火星の人〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫SF)

火星の人〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/12/08
  • メディア: 文庫



火星の人(上) [本と雑誌]

今月のSFノルマはアンディ・ウィアー。初めて読む作家さんです。

過日に公開されたSF映画「オデッセイ」が、もお至極面白かったので原作読んでみました。今月は上巻、来月下巻ですね。

マーク・ワトニーは、第三次火星有人探査チームのクルー。滞在わずか6日目にして大嵐に見舞われ撤退したチームに、不慮の事故で置き去りにされ、火星上でたった一人残されることになります。

幸いにしてNASAが熟慮に熟慮を重ねた装備は嵐を耐えきり、当面の生存には問題ありません。ですが地球から火星はあまりに遠い。

水と空気はどうにかなるが、どう計算しても地球からの第一便が最速で届く遥か前に彼は餓死する。

かくして地球との連絡も立たれた状態で、彼はたった一人、サバイバルを開始するのです。


大筋は映画で公開されているので省きますが、読んでいてウウムとうなるのは、まったくのハプニング続きの偶然の重なりのように見えて、その実緻密な計算に裏打ちされた、ガチの火星生存シミュレーションでしょうか。

まず探査6日目と早期に孤立したことで、運び込まれていた食料や何やらの消耗品は、ワトニー一人にとってはずいぶんと余裕があります(それでも食料は圧倒的に足りないのですが)

またたやすく絶望するような状況ながら、それでも常に行動をし続けるモチベーションを持てる人格として、ワトニーという青年をデザインしたのは理にかなっています。

彼は人並みに悪態をつき、わがままを言い、ブラックジョークや下ネタを連発しますが、一方で絶望に強いメンタリティを持ち、創意工夫に優れ、一方で冷静に状況を分析して為すべきことを1つずつつ重ねていくことを苦としない性格です。

まさにサバイバーとしては理想的と言えるでしょう。そしてそういうメンタリティだからこそ、小説の主人公として実に上質なエンターテインメントを提供してくれるのです。

物語は緻密に設計、構築されたシミュレーションの上に、わとにーというキャラクター、NASAクルーの死に物狂いの尽力。世界中の人々の関心。

そしてワトニーを結果的に置き去りにしたアレス3クルーで組み立てられるのです。

これで面白くならないはずがない。割と時間を忘れて読みふけってしまいました。

実に良質の読書でした。お勧めです。

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: アンディ・ウィアー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/12/08
  • メディア: 文庫



臨機巧緻のディープブルー [本と雑誌]

今月のSFノルマは小川一水。

読んでみたら前に読んだ本の前のエピソードでした。読む順番間違えたかと思いきや、先にあっち読んでもそれはそれでシチュエーションが面白かったので損した気にはならず。

「あまねく知を求めて」宇宙を知る事を目的に活動するダーウィン機関の第五艦隊が舞台。

主人公のイシヅカタビトは、「自分が何を撮ればよいのか」なんとなくわからずに、ただカメラを構える新人の随行カメラマンです。

今回艦隊は、未知の知性種族が2陣営で衝突を始めている星系にたどり着き、様々なことを明らかにしながらファーストコンタクトを求めていきます。

「知る」というテーマが主題なので、展開される文明や生物相。異星人の思考形態などが次々に明らかになっていく展開は、読んでて好奇心を掻き立ててくれます。

そして交流のブレイクスルーになるのがタビトなわけですが。割と直感で行動しながらいろいろなことに入っていき、「撮ること」「伝える事」を軸にコミュニケーションを作り上げていくのはなかなかに新鮮で面白いです。

相棒のAIポーシャがまたいい女房役で、いろいろとわきが甘い彼をよく補佐しています。

今回、話の展開上のどんでん返しがあるのですが、それが思いもよらぬ方向からでして、刺激的で面白かったです。

設定の広がりも想像力を刺激してくれますし、ストーリーの展開も飽きさせない感じですんなり読めました。

小川先生らしく、読みやすい感じですがその奥に大きな広がりを感じさせてくださる良作でした。

面白かったです。お勧め。

臨機巧緻のディープ・ブルー (朝日ノベルズ)

臨機巧緻のディープ・ブルー (朝日ノベルズ)

  • 作者: 小川一水
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2013/10/18
  • メディア: 単行本



コンタクト(下) [本と雑誌]

今月のSFノルマは、先月に引き続きカール・セーガン。

映画化された小説の下巻です。

上巻でメッセージの受信と世界的な解析プロジェクトが発展する中、下巻ではついにメッセージの解読が成し遂げられ、巨大な「マシーン」の建造が進んでいくことになります。

紆余曲折を経て、ヴェガ星方面から発信された図面をもとに、機能も定かではないマシーンの建造が決定されます。

主人公の電波天文学者エリーは、この計画に参画しながら、様々な人と出会い、思いを巡らせます。

政界、宗教界、科学界すべてを巻き込んだうねりをはらみつつ、ついにマシーンは完成。エリーはイレギュラーから、望んでいた、用意された5つの座席の一つを占めることとなります。

マシーン起動により直面する脅威の事象は、エリーたち五人の科学者に大きな刑事と示唆を与え、すべては何もなかったかのように、痕跡一つ残さず終わってしまいます。

「何も起きなかった」

地球側の観測からはそう結論付けるほかはなく、5人は批判の矢面に立たされることになります。

ですが、彼女たちは自分たちの得たものを信じ、次なる可能性を紐解くために動くのです。


まあ細かいところは読んでいただくとして、下巻では、読んでいてかなり意表を突かれる展開が待っていました。

映画でも、また上巻でも、「メッセージ」はヴェガ星方面から発信された一連の電文のことを指しているので、読みながらそれのことしか考えていなかったのですが。

下巻では、話が進むにつれて「メッセージ」というものが、実は多様な意味を持っていることが明亜にされていきます。

もちろん、宇宙からの電文はそうなのですが、これまでつぶさに描かれてきたエリーの人生から受け取れるメッセージ、過去からのメッセージ、超越した何者かかkらのメッセージ。

そして、カール・セーガンその人から、読者に向けたメッセージという意味もありました。

青い鳥は、振り向けば実は、そこにいるのかもしれません。

最後に示された、それまでは思いもよらなかったところに秘められていた「真円」というメッセージ。

読み終えた瞬間、やられたー、という、気持ちの良い読後感を味合わせていただけました。

それまで延々と書き連ねられた事柄が一気に組みあがっていく下りは、なんとも小気味よいものでした。


非常に面白く、得るものの多い読書でした。

お勧めです。

コンタクト〈下〉 (新潮文庫)

コンタクト〈下〉 (新潮文庫)

  • 作者: カール・セーガン
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/07
  • メディア: 文庫



コンタクト(上) [本と雑誌]

今月のSFノルマはカール・セーガン。

たまさまWOWOWで見た映画がすこぶる面白かったので原作に手を出してみました。

映画とは全く違う内容でしたが、まあ映画化なんてのはそんなもんです。

幼いころからエレクトロニクスにきょうみがあり、なんやかやそ電波天文学の道に進み、ETI(地球外知性探査)に従事している女性博士、エリーが主人公。

前半は彼女の人生を丹念に追うことで彼女の人格や考え方がどのように形成されたか丁寧に描かれています。

中盤で、主題となるヴェガ星からの<メッセージ>。すなわち有意通信が届きます。

後半はそれに対する地球各国や科学者たちの動きを、これまた丹念に描いています。

SF小説ですが、ジェイムズ・P・ホーガンのような、広げた風呂敷を順繰りに開陳していくような内容ではなく、SF設定は悪案で地球外からの通信ぐらいで、それを下敷きにした科学や宗教、政治、そして登場人物たちの人間関係などの話題や動きをじっくり描いていく小説です。

スペクタクル的な展開はほぼなく、淡々と時間を追っていく小説ですがそれだけに、なんというかリアリティというか、身近な印象を受けるのが、SFとしては逆に新鮮で面白いですね。

この辺は映画でも踏襲していたので、読みながら、なるほど映画はよく整理されているなとも思いました。

今回は上巻ですが、下巻になると、だんだん事態が動き出すのでしょう。

下巻を読むのが楽しみですね。

コンタクト〈上〉 (新潮文庫)

コンタクト〈上〉 (新潮文庫)

  • 作者: カール・セーガン
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/07
  • メディア: 文庫



青い星まで飛んでいけ [本と雑誌]


青い星まで飛んでいけ (ハヤカワ文庫JA)

青い星まで飛んでいけ (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 小川 一水
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2011/03/10
  • メディア: 文庫


今月のSFノルマは小川一水。

年代も掲載しもばらばらだった短編の短編集とのことですが、楽しく読ませていただきました。

解説によると「小川一水流の恋愛SF短編集(意訳)」なのだそうだが、読み終えてみると、なるほど確かに形の違う、SF拡大された恋愛短編集と言えなくもないかと思います。

収録された短編は、多かれ少なかれ両性の人物(性別がなかったり人でなかったりというのもありますが、まあ概念として)が出会い、すれ違ったり理解しあったりしながら一つの結末を迎えるストーリーになっています。

1編目の「都市彗星のサエ」などは、とある水資源採掘衛星に自然発生的に発展した都市コロニーの、一般家庭の少女サエと、インフラ整備を家業とする一族に生まれた少年のお話ですので、そのままボーイミーツガールものです。

こちらは外の世界を願ってやまない二人が、それぞれの立場の違いを対比させながら進行するストーリーが大変面白かったです。

5編目の「守るべき肌」などは、ある意味究極のMMORPGエミュレーション小説ともいえるような内容でした。電子演算機上の人格として不老不死を達成し、繁栄を謳歌している人類の少年のもとに、プログラム上の存在のはずなのに「眠る」という奇妙な行動をとる少女が現れるところから始まります。

彼女は人類に助けを求め、かくして壮大な「ゲーム」が始まるのですが、ゲームのルールの下に星間戦闘の下敷きを隠した序盤の展開から後半への下りは、色々と種明かしされていく流れが楽しかったです。

4編目の「占職術師の希望」はサイキックSFですが、人の天職を見抜ける超能力の持ち主というアイデアが面白く、魅力的でした。

僕などはその気持ちが強いのですが、自分の仕事が自分に合ってない気がして、どこかに天職があるんじゃないか、誰か教えてくれないかと思っている人は、まあ大抵の人がそうなんじゃないかと思います。

読んでいると、一つ自分も天職を教えてほしいと思ってしまいます。さてその超能力者は、逆に言えばそれ以外は何もできないのですが、ある知り合いのつてからテレビ局に行ったとき、爆弾テロに巻き込まれます。

そこで見かけた「テロ扇動を天職とする男」。そいつを捕まえるために、どのような手段をとるのか。

かっこよい話ではなく、泥臭い話なのですが、そこが妙に現実味があって面白かったです。

最も印象深いのは、やはり最後に収録された「青い星まで飛んでいけ」ですね。

星間文明をもつ知性種族同士の出会いと融合をテーマに描かれたこの話は、究極のボーイミーツガールともいえる内容かもしれません。なんせスケールが数万年単位のタイムスパンで描かれる、恒星間を日常の距離とする話ですからスケールがでかい。

それだけでかいスケールですが、描かれるのはままならない人(種族レベルですが)の心のすれ違いと開花なのですから面白いです。

ばらばらと言われるだけあって、実にバリエーションに富んだ物語が展開されていました。どれも面白かったです。

さて、しばらく日本人作家の本が続いたので、次は久しぶりに海外作者の作品を読んでみましょうかね。