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ロボットの時代 [本と雑誌]


ロボットの時代 〔決定版〕 アシモフのロボット傑作集 (ハヤカワ文庫 SF)

ロボットの時代 〔決定版〕 アシモフのロボット傑作集 (ハヤカワ文庫 SF)

  • 作者: アイザック・アシモフ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2004/08/06
  • メディア: 文庫



今日もタイピング矯正中。慣れてはきましたがそろそろ手の筋が痛くなってきましたな。

今月のSFノルマはアイザック・アシモフ。

かの巨匠の代名詞ともいえる「ロボット三原則物」の短編集です。

収録策には三原則物でないものも含まれていますがまあ、おおむねその作品です。

解説にもありますが、本作品集には、ロボットを利用して自分の欲望を実現しようと悪戦苦闘する人間たちが描かれています。ロボットが主題でありながら、ロボットを鏡と粗て人間を描いているようにも思えますね。

その人間たちが悪戦苦闘するのが、ロボット三原則に基づくロボットたちは、悪行をなすことができないという現実です。

この構図により、より多様な三原則解釈が描かれるのが面白いですねえ。

特に気に入ったのは、冒頭に収録されていた「AL76号登場す」ですね。

思わぬ事故からロボットとは縁もゆかりもない人の元に堕ちてきてしまった惑星開発用のロボットが、ロボット発見の懸賞金取得を目論んだその人物の命令の影響で、とんでもないものを作り出してしまうという、コメディな内容です。

分かりやすい棚ぼた思考と最先端のロボットの取り合わせがなんともユーモラスで面白かったです。

対して、最後に収録された「校正」などは、人ならざる存在であるロボットへの人間が抱く恐怖による悲しい人間の業が描かれており、こちらはもの悲しさを覚える良作でした。

エンターテインメントとしてよくできているので、割と夢中になって読んでしまいました。面白かったです。

良い読書でした。しばらくアシモフばかり読んでいたので、そろそろ違う作家の本を読むべきですかねえ。

タイタンの妖女 [本と雑誌]


タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫SF)

タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: カート・ヴォネガット・ジュニア
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2009/02/25
  • メディア: 文庫



今月のSFノルマはカート・ヴォネガット・ジュニア。

なんやかんやで読むのに〇〇一か月もかかってしまいましたが、なんだかよくわからない小説でした。

部隊は太陽系、主に地球です。

宇宙にいくつか点在する「すべての価値観が一つになるポイント」に突っ込んだがゆえに、時空を超えたあらゆる時と場所に波動減少として存在することになった大富豪、ウィンストン・ナイルズ・ラムファードは、髪のごとき全知を得て、信じがたい幸運”だけ”で大富豪となっている若者、マラカイ・コンスタントの人生に干渉します。

何かとラムファードに振り回される羽目になる彼ですが、最後もハッピーエンドと言っていいのか首をかしげる展開になっていきます。

全てを操っているかのように見えるラムファードも、実は…といったどんでん返しが用意されているなど、一筋縄ではいかない筋書きです。

呼んでい居て、時間も部隊もあっちこっちにとびとびになるので理解が追いつくのが大変で、このsカウ社は何が言いたいのかがよくわからない本旦那と思いましたが、開設を読むとそこも魅力なんだそうで。

多分、エンターテインメントとして読む本ではないと思います。

さてSFとしてはと言いますと、コメディのような内容ですがこれでかなりディープな設定が下に敷いてありまして。

先述のポイントの話もそうですし、オーバーテクノロジーとして登場する動力機関も、物理法則ではなく、概念機関のような仕組みのようで、かなり新鮮なイメージがあります。

大分とらえどころない本でした。よく考察するのが良い本なんだろうなあ。

鋼鉄都市 [本と雑誌]


鋼鉄都市

鋼鉄都市

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/08/25
  • メディア: Kindle版



今月のSFノルマはアイザック・アシモフ。こないだまで読んでいた「黒後家蜘蛛の会」の流れで。

あれと同じくのんびり一か月ぐらいかけて読んでました。現在絶賛ぷーたろー故通勤時間がないから文庫の類は読み進めるのが遅くなりますな。

さて本作。

アシモフの代表作だそうで、読み終えてみると確かにこれはすごいなあと思いますが、読み始めたときは、あれ、これ本当にアシモフ?ってぐらいあまり引き込まれなかったのが不思議です。

舞台は遥か未来の地球。

人々はシティと呼ばれる、外界から隔離され、増えすぎた人口を養うために高度に自動化、効率化された世界に住んでいます。

既に宇宙移民は行われており、結構な数の開拓惑星があるのですが、そこの人々との意識の隔絶は深刻で、現在閉塞しつつある地球をどうにか生き延びさせようと地球に戻ってきている宇宙市民たちは、宇宙人と呼ばれ、地球人たちからは何か違うものとみなされています。

そんな中、絶対不可侵のはずの宇宙市(宇宙人が済む隔離エリア)で、あるはずのない、あってはならない、宇宙人が殺されるという殺人事件が起きます。

地球は既に、宇宙人たちの持つ進んだ技術による戦力に対抗する術を持たない立場であり、この事件は一歩間違えば地球が滅ぼされるという、非常にデリケートな意味を持って物語の中に登場します。

主人公はシティの警察に勤めるごく普通の刑事の男。取り立てて優秀な名探偵タイプでもなく、ハリウッド映画に出てくるようなスーパーコップ的な強さも持ち合わせてはおりません。

普通の地球人らしく、自分たちの仕事を着実に奪ってゆくロボットが嫌いで、宇宙人とはかかわりたくないと思っており、降ってわいたこの厄介な事件捜査を早く放り出したくてたまらなくて、とはいえどうにかして自分と家族の生活を守るか、もう少しランクの高い階級の配給を受けられるようになれないかという考えを抱いた、いわば小市民的な男です。

彼のパートナーとして宇宙市側からつけられたのが、非常に成功に作られた、人間とは見分けのつかないロボットであるという事態が、一層彼の精神をさいなむのです。

そんな状態の彼ですから、鮮やかな推理で事件を解決することもできませんし、スカッと爽快に事態を解明することはできません。

むしろ疑心暗鬼や不安、恐怖心から、堂々巡りを繰り返し、大々的に間違った推理を展開しては手痛いしっぺ返しを食らいます。

その傍らで、パートナー(?)のR・ダニールは、常にそこにいるのです。


大筋としてはこんな感じですね。アシモフといえばSFという印象ですが、先述の黒後家蜘蛛の会を読むとミステリもかなりの物なのが分かります。

本作は、その両方が楽しめる、ある意味お得な物語とも言えそうです。

物語の根底にあるのは、アシモフ一流のロボット三原則であり、事件の真相についてもこの三原則が深くかかわっています。

それと同時に未来の管理社会や、宇宙人という、外側の視点からの地球の人々の姿や性質など、ある意味哲学的な考察などもあり、読みながら大分あれこれ思いを巡らすお話でした。

先に書いた、なかなか面白さが分からなかった点が実はこの本の一番面白いところであることが、読み終えてみるとわかるのですが、この主人公の男性が決してスーパーマンではないために、爽快な物語ではありません。

ですが彼の悩みや苦しみ、誤解や間違いはなんだか自分がやっているような気になってくるので、後半に行くにつれてだんだん話に没入していく感じが面白かったです。

彼の内面描写は、彼を通して我々一般的な社会人の姿を映し出しているようでもありますし、なんとも言葉にしづらい感触を与えられます。

読み終えてみると、SF小説ではあるのですが、なんてことはない、根底にあるのはロボットt、宇宙人という鏡を通して自分を見つめなおす物語であるのだと感じました。


読みながらいろいろと考えさせる小説でしたね。考えさせてくれる本は良い本です。

大変面白かったです。

なんとなく、このままm来月もアシモフを読もうかなあという気分ですが、まあ来月のことは来月考えます(笑

黒後家蜘蛛の会 [本と雑誌]

今月のSFノルマはアイザック・アシモフ…と、言いたいところですが。

本作はミステリー、推理小説になります。


黒後家蜘蛛の会 1 (創元推理文庫 167-1)

黒後家蜘蛛の会 1 (創元推理文庫 167-1)

  • 作者: アイザック・アシモフ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1976/12/24
  • メディア: 文庫



冒頭の紹介をそのまま引用しますと…

<黒後家蜘蛛の会>の会員-科学者、数学者、弁護士、画家、作家、暗号専門家の六人、それに給仕一名は、毎月一回晩餐会を開いて四方山話に花を咲かせていた。ところで、いったん話がミステリじみてくると会はにわかに活況を呈し、会員各自が素人探偵ぶりを発揮する。ところが最後に真相を言い当てるのは、常に給仕のヘンリーだった! 安楽椅子探偵の歴史に新しい一ページを書き加える連作推理短編集。SF界の巨匠アシモフが自信満々、読者に挑戦状を叩きつけるーさあ、あなたもミラノ・レストランに出かけて推理の共演に参加されよ!

僕がグダグダ書くより、この冒頭の紹介が本シリーズの魅力を余すところなく表現しております。

どうです?読んでみたいでしょう?(笑

面白いことは請け合いますよ。


地元の書店(ブックファースト)にて棚づくりがされていた「書店員が薦めるこの1冊」といったような棚をながめていて見つけて「え、あのアシモフって推理小説も書いてたの!?」とびっくりして手に取りました。

アシモフといえばSF小説、というイメージがありますが、多筆で知られるこの作家は、実にいろいろなものを書いているのは知っていました。ですが推理小説にまで手を出していたとは…

ぱらぱらめくってみて、上記引用した紹介を見て矢も楯もたまらずレジに走りました。棚に残っていた最後の一冊でしたから、かなり幸運に恵まれた出会いだったと思います。

そんな読書が面白くなかったはずがありません。

1巻がもう面白くて一気に読んでしまい、5巻まで刊行されていることを見るとアマゾンで全部注文。面白いので一気に読むのはもったいないと、ここ半年ぐらいかけてのんびり読み進めておりました。

この本の魅力は、六人プラスワンの黒後家蜘蛛達が世事やら役人やら政治家やらに、実に親近感のある文句を喧々諤々と並べたて、お互いを貶めあって口論し、まるで喧嘩してるかのようなやかましさをしながらも、なんだかんだで全員が全員を大切な仲間として捉えていることを(明言はされていませんが、行間からにじみ出る)疑いようもなく読者が信じられ、そして各員ひとかたならぬ知識や学問を備えながらも、全員が満場一致で認める会員随一の知恵者(そして本人ははにかみながら謙遜する)の人としての面白さ、魅力です。

短編集ですから、だまされたと思って1巻を書店で手に取り、最初の短編1つを立ち読みしてみてくださいな。あなたがそのままそれを持ってレジに走ることを僕は予言します(笑


短編集ですから、各エピソードで取り上げられるミステリ、謎というのは様々です。

日常のちょっとした不思議や、仕事で今まさに躓いている事柄、なくしもの、過去の人生におけるちょっとした謎。時にはどうにも当てがなく、弱り切った縁もゆかりもない行きずりの青年の悩みを解決することもありました。

既に解決済みのスパイ事件の謎解きを後から知恵遊びのようにあれこれ議論することもあり、決してちょっとした謎ばかりではないのもご愛敬。時には大きな成果を、人知れず挙げてしまうところも、なんとも誇らしいじゃないですか。

通して読んでみて、最も印象深くて好きなエピソードといえば、何をおいても第一話「会心の笑い」につきましょう。

作中もっとも謎めいた人物である、給仕ヘンリーが、いかなる人物で、どのような魅力を読者に与えてくれる存在であるかをたっぷりと味合わせてくれるこの1編は、まさにミラノ・レストランで供された極上のディナーのようで、一発で魅了されたものです。

他にも、3巻で披露された「ロレーヌの十字架」などは、あらゆる超能力のインチキを見破る事に長けた腕のいい手品師が全く気付かなかった、日常のちょっとした謎の意外な真相が明らかになったときは、件の手品師ともども呆気にとられたものでした。

その謎の正体も、アシモフ一流のユニークなユーモアにあふれていてなんとも好きなエピソードですね。

シリーズの魅力といえば、矢島高光氏、桶本康文による、実に楽しそうなアシモフ当人がデザインされたカバーデザインもそうですね。

作中読んでおりますと、アシモフは本作をライフワークのように、実に楽しく日常的に書いているとのことで、そのうきうきしながら執筆している日々や、「黒後家もの」に使えるネタを探している日常が想起されて親近感がわいてきます。

また、何よりも楽しみなのが、短編1編1編につけられたアシモフ当人による小さなあとがきと、冒頭の前書きですね。

カバーイラストもそうですが、アシモフ当人の筆からなるこれらは、アシモフがどれほど黒後家蜘蛛達を愛しているかが端的にわかるだけでなく、各エピソードを発表した際の裏話やちょっとした愚痴なども挟まれていて、作家アシモフの素顔が透けて見えまして、これまた実に楽しいのです。


アシモフ一流のユーモアやちょっとした毒舌、アイデア、茶目っ気により綴られる極上のディナー。

皆様も是非ご賞味あれ。

宇宙の戦士 [本と雑誌]


宇宙の戦士〔新訳版〕(ハヤカワ文庫SF)

宇宙の戦士〔新訳版〕(ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: ロバート・A ハインライン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/10/22
  • メディア: 文庫



今月のSFノルマはロバート・A・ハインライン。不朽の名作、宇宙の戦士です。

幾多の栄枯盛衰を経て、過酷な銀次経験と教練を終えた市民い飲み、市民権が与えられる、ある意味軍事国家となった地球人類。権力を持つ人間を一定のふるいにかけることで発展した社会が、虫のような以西知的種族との恒星間戦争を戦い続けている世界が舞台です。

主人公はリコ。若気の至りで市民権を得るため軍に志願し、戦闘降下を専門に行う機動歩兵部隊の兵士として育成され、降下し、戦っていく半生が克明に描かれています。

この作品をもっとも特徴づけていると言われるのが、起動歩兵の身にまとうパワードスーツであり、まとった人間を恐るべき殺りく兵器に変えるこのガジェットに、SFファンのみならず、多くのクリエーターやその卵たちに強烈な印象を与え、影響を残しました。

まあ前置きはさておき。この辺の話は方々でさんざん言われていることですし。

なんやかやで興味を持ちつつ、まだ読んでなかったので読んでみましたが、いやはや、おもしろいですね。

SF小説、軍隊小説、スペースオペラとして大変に面白く、エンターテインメントとして一種の完成形にあるのではとすら思ってしまいました。

小説に先立って、公開されたときに映画「スターシップトゥルーパーズ」を見ていましたが、当時は面白いと思いつつ原作からは乖離してるんじゃないかと勝手に思っていたのですが、原作読んでみてあれはかなり原典に忠実に描かれた映画なんだと認識を改めました。


スターシップ・トゥルーパーズ [Blu-ray]

スターシップ・トゥルーパーズ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • メディア: Blu-ray



原作を読んだ今なら、あの映画を倍楽しめるんじゃないかと思っています。

語り口がリコの一人称なので、見えてる視界はリコの芽や価値観を通したものに限定されるのですが、読んでいてその限界を感じないほどの世界の広がりを感じることができます。

この辺は読者の想像力を喚起するのがうまいのでしょうが、うーん、ハインライン凄いなあと。

パワードスーツや、同僚の機動歩兵の力強さと信頼、その裏付け。

バグの脅威と恐怖、だがしかし全く勝てない相手ではないぞという、一方的にやられてなるもんかという、人間のしぶとさ。

そこにいちいち実体感があり、信念があり、それゆえに引き込まれる面白さがあります。

沢山の人がこの作品に影響されるのもうなづける気がしますね。


非常に面白い本でした。あー面白かったー。

時計仕掛けのオレンジ [本と雑誌]


時計じかけのオレンジ 完全版 (ハヤカワepi文庫 ハ 1-1)

時計じかけのオレンジ 完全版 (ハヤカワepi文庫 ハ 1-1)

  • 作者: アントニイ・バージェス
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2008/09/05
  • メディア: ペーパーバック


今月のSFノルマはアントニイ・バージェス。

ビブリア古書堂の事件手帳で触れられていた本で、気にはなっていたのが現物が見つからず。


ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)

  • 作者: 三上 延
  • 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2011/10/25
  • メディア: 文庫


先日たまたま出かけた鎌倉(http://tenkamutekinomuichi.blog.so-net.ne.jp/2016-11-27)で完全版を入手したのでさっそく読んでみました。

オビにR-18を歌っている通り、大変道徳上よろしくない小説です。

主人公は無軌道な暴力に明け暮れる少年、アレックス。

盗みや喧嘩、殺し合いに暴行、麻薬と、悪いことは空気のように行い、テンションをあげていく、いわゆる「今時の若者」を、極端に克明に描いた人物です。

それなりに頭も切れるので、同じ世代との抗争やら警察沙汰やらをうまく切り抜けていきますが、ある時仲間の裏切りに会い、遂に刑務所に入ってしまいます。

そこで施されたのが、新法によって提唱された、人格矯正手術とでもいうべき代物。

薬物と強烈な条件付けにより、暴力などに凄まじい抵抗感を覚えるようにされて今うのです。

犯罪の減少のための切り札とされている、この新法は万人に歓迎されているわけではなく、人格を否定するものとして強力な反対運動も行われています。

アレックスハその双方から広告塔として運命を弄ばれていくのです。

上記の通り、内容は暴力に彩られた、大変刺激的な物です。

面白いかというと、おもしろいのですが眉を顰める内容でもあり、読者を選ぶ本と感じました。

ですが解説にもあるような、独特のスラングを多用したアレックスの一人称で描かれる世界は、妙なリアリティと不思議な世界観を持っていて興味深いです。

また一人称ですので、読者はアレックスの見ている世界を読み進めていくのですが、読みながら、たぶんアレックスじゃない人には、この世界は別のように見えているのだろうな、とも感じることができ、想像力が刺激される本でもありました。

正直今までに読んだことのない感触の本でしたが、これはこれで面白く。

眉をひそめながらも、結末まで一気に読ませてしまう勢いがありました。

視点により様々な側面を見せると想像させる世界。

しいたげる立場から弄ばれる立場への逆転。

などなど、いろいろな二面背反性を見せる作品でありました。

刺激的な読書ですね。


黒いカーニバル [本と雑誌]


黒いカーニバル (ハヤカワ文庫SF)

黒いカーニバル (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: レイ ブラッドベリ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/09/05
  • メディア: 文庫


今月のSFノルマはレイ・ブラッドベリ。

良くは知らないのですが(おい)何気に幻の短編集、復刻だそうです。

ブラッドベリといえば、以前読んだ「華氏451」が印象深く、どこか黒いヘドロのような情念を描く作家というイメージ。

今作品集はさらにその深淵ともいうべきぐろぐろとした内容で、なんというか魂が揺さぶられました。

というか読むタイミングが悪かったなあ。

ちょいと仕事回りでいろいろあって鬱々としている時期に読んでいたので、ダークサイドの直撃を受けてしまい。

面白かったのは確かなのですが、楽しめたかというと、ちとヘイトが強すぎましたな(苦笑

まともなときに読めば、また違う印象を受けるのでしょうが。でも読むの途中で読めようにも次が気になる短編集なので結局最後まで読まされてしまったのはさすがというか。

この作品集では、ブラッドベリの視点から描いた「子供たち」が多数描かれているのです、が。

そのかわいらしさや純粋さなどは欠片も描かれてはおらず、この作者は子供という生き物に恨みや憎しみでもあるのかとばかりに、子供たちの残酷な面をまざまざに描いているのがなんとも言いようがなく。

この作品集を読む限り、ブラッドベリにとって、子供とは、得体のしれない宇宙人か、それ以上に恐ろしく、おぞましく、残虐で、得体のしれないもののようです。

まあそんな内容なので、SF作品集というう体ではないです。解説にもありましたが、どちらかといえばファンタジー、それも日常の一枚裏側で繰り広げられる不可思議な世界が描かれています。

ですので「世にも奇妙な物語」的な、怪奇や現代伝奇といったテイストですね。

良くも悪くも印象的な読書でした。


さて、少し口直しがしたいので、次はアシモフの黒後家蜘蛛の会の続きを読むかな。1巻すげえおもしろかったので。


黒後家蜘蛛の会 2 (創元推理文庫 167-2)

黒後家蜘蛛の会 2 (創元推理文庫 167-2)

  • 作者: アイザック・アシモフ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1978/07/14
  • メディア: 文庫



シャーロックホームズの宇宙戦争 [本と雑誌]


シャーロック・ホームズの宇宙戦争 (創元SF文庫)

シャーロック・ホームズの宇宙戦争 (創元SF文庫)

  • 作者: M・W・ウェルマン&W・ウェルマン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1980/06
  • メディア: 文庫


今月のSFノルマはマンリー・W・ウェルマンとウェイド・ウェルマン親子の共著。

今月は著者つながりではなく書店でタイトル見て一発買い。


いやだって。読むでしょう。これは(笑)


さて内容はというと、HGウェルズの宇宙戦争とシャーロックホームズシリーズを合体させたような代物。

ウェルズのSF小説「宇宙戦争」を下敷きに、舞台となったロンドンに同時期に居たことになるシャールック・ホームズが、あの災厄に直面したらいかなる行動をとるか、というお話でした。

コナン・ドイルのヒーローとして、もう一人の主人公枠にチャレンジャー教授が出演しています。

宇宙戦争は読んでて、ホームズは角川の新薬版を出ている分は読んだ状態でしたので大体の背景はつかみながら読めたのは幸運でした。

惜しむらくは、チャレンジャー教授の原典が未読だったことですか。これ読む前にそっち読んでおこうと思って、この本掴んでそのまま書店内探したのですが見当たらなかったのが残念でしたが、読んでみた感じでは大した不都合はありませんでしたな。

さて、先述の通り、ウェルズの作品が下敷きとなりますが、あれが主題だとホームズとチャレンジャーが主人公になる余地がないため、作中ではウェルズを「宇宙戦争」という報告を世に出したが、その内容には不備や偽りがある、という解釈で、都合の悪い部分は原典を否定する方向になっています。

まあコラボ作品ではよくある手法ですが、これのおかげでワトスン博士のウェルズへの批判記事が読めるという面白い側面もありました。

ホームズシリーズは、主に記録者であるワトスンの視点から描かれていますが、本作ではワトスンの居ない場面が多々あり、ホームズ視点で描かれているあたりは大分興味深かったです。

同時にチャレンジャー教授サイトも奇想天外、豪放磊落で迫力がありました。

3人が協力して火星人と対決するくだりなどは読みごたえもあり、なかなかに面白かったです。

イロモノといえばイロモノですが、それぞれの原典をよく分析しているようで、読んでいてあまり違和感は感じません。

一部、ワトスンの視点では見れなかったホームズの素の部分などは若干あれ?と思う部分もありますが、ワトスンが登場してからはその辺の理由付けもされたので、読み終えてみれば目くじら立てるような部分ではないですね。

面白かったですが、最低限「宇宙戦争」は読んでからのが楽しめると思います。

良い読書でした。

スは宇宙(スペース)のス [本と雑誌]


スは宇宙(スペース)のス (創元SF文庫)

スは宇宙(スペース)のス (創元SF文庫)

  • 作者: レイ・ブラッドベリ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1971/10/08
  • メディア: 文庫



今月のSFノルマはレイ・ブラッドベリ。

短編には定評のある御大の自薦短編集です。

個人的にはブラッドベリは魅力的な短編を表してくれる素敵な作家という認識でしたので、今回の本は結構楽しませて読ませていただきました。

ハードSFに分類されると思いますが、今回まとめられている作品たちは、どちらかというと怪奇物に近い雰囲気。

人知れず忍び寄る恐怖や、日常の些細な違和感から発展する危機。蘇る死体、人間の不可解なミューテーション、いつの間にか人間を支配しているキノコなどなど。

バリエーション豊かな世界と恐怖が詰まってます。

SFというよりも哲学的な話などもあって、読んでいて飽きませんでした。

一通り読んだ中では、1編目の「さなぎ」がなかなかに怖く面白く。

人間が不可解な放射線の影響でさなぎになって今うという話。

「彼」の治療というか検査というかに臨む二人の医師は、一方は「彼」をひどく憎み、あまつさえ殺そうと詩。

一方は、間もなく目の前で繰り広げられるであろう、新たな人類の誕生に狂おしいほどの歓喜を見せる。

そして結末は…

思わずアッと言わされるオチが待っているのも面白いです。

上げて落とすのは、エンターテインメントの基本ですねえ。

大変面白く、また創作の勉強になる読書でした。

さて来月は何を読もうかねえ。

非Aの世界 [本と雑誌]

今月のSFノルマはA・E・ヴァン・ヴォークト。

昔読んでいた成恵の世界という漫画作品のタイトル元ということで読んでみました。

ギルバート・ゴッセンは、理想郷金星への切符を得ることができる<ゲーム>の参加者として、世界のバランスを保つ<機械>の町に降り立ちます。

彼は絶対の自信をもってゲーム最初の試練に臨みますが、自分が実は偽りの記憶を植え付けられた人間で、プロフィールもでたらめだったという、予想外すぎる理由でゲームからはじき出されてしまいます。

一体何がおきたのか。非アリストテレス的思考、すなわち非A的思考を身に着けている非A人である彼は状況の分析を始めるのですが、それもおぼつかないうちに次々とトラブルが枯れの身に降りかかります。

やがて彼野図のには秘密があり、それをめぐってさまざまな陰謀が絡み合い、全銀河的な戦争に巻き込まれていくのですが、すべてが実は…?

という話、と言っていいのか。

なかなかにあらすじの書きにくい作品ですね。

名作と言われるだけあって面白くはあったのですが、あまり好みではありませんでした。

主人公ゴッセンの一人称で語られる物語なのですが、しょっぱなからその主人公の記憶が偽りだったということで、何を信じていいのかわからないうちに話が進みます。

ゴッセンも読んでいる身としては右往左往しているだけで状況に流されるままに最終局面に行くような感じがするので、うーん。

SFアイデアは素晴らしく、テンポもよいですが、内容がぶっちゃけ支離滅裂なのでイマイチ入り込めませんでした。

解説によると、そのめちゃくちゃさがこの作者の魅力らしいので、単に向かなかっただけですね。

人を選ぶ作品です。

楽しめたかというと微妙ですが、様々な展開とアイデアが勉強になったので、悪い読書ではなかったと思います。


さてSF在庫が尽きたのでまた仕入れてこないとなー。

次は何読もうかしらね。

非Aの世界【新版】 (創元SF文庫)

非Aの世界【新版】 (創元SF文庫)

  • 作者: A・E・ヴァン・ヴォークト
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/02/27
  • メディア: 文庫



成恵の世界(1)<成恵の世界> (角川コミックス・エース)

成恵の世界(1)<成恵の世界> (角川コミックス・エース)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2006/10/01
  • メディア: Kindle版



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