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バロック協奏曲 [本と雑誌]


バロック協奏曲 (1979年) (サンリオSF文庫)

バロック協奏曲 (1979年) (サンリオSF文庫)

  • 作者: アレッホ・カルペンティエール
  • 出版社/メーカー: サンリオ
  • 発売日: 1979/05
  • メディア: 文庫



今月のSFノルマはアレッホ・カルペンティエーレの「バロック協奏曲」

今月のSFノルマ再開ということで。

まあ再開と言いつつのっけからSFじゃないのですが。僕のような新参のSF読みからすると憧れのレーベル、サンリオSF文庫の1冊を入手できたので、これをSF扱いということで読んでいました。

ページ数は200ページにも満たない本ですが、のんびり1種間ぐらい読んでいた気がします。

これまでに読んだことのないタイプの物語で、小説というか、叙述詩というか。演劇の様子を文章に落とし込んだような本でした。

時代ははっきりと明示されておらず、読み始めは中世時代にも思われましたが、読み進めると大航海時代の南米からヨーロッパへの旅路のようでもあり、最後は近代に来ているような気もする、不思議なお話です。

物語の最初は南米で財を成し、銀を有り余るほど持った裕福な人物が、お供の音楽家を連れて欧州に凱旋するような内容です。

その道筋には常に音があり音楽があり、過激があり、騒々しさがあり、活気がありむさぼるような地方の食事があり、

ストーリーを追うというよりも、目まぐるしくあくぁるミュージカルの場面転換を文章で追っているような激しい内容の文章でした。

もう本当に目まぐるしく人物と場面と舞台が入れ替わるので、読んでいて追うのが大変でしたが、理解しがたい文章からも、あふれるような熱気と興奮ばかりは伝わってくるという。

まさに協奏曲といった本で、これは小説として読む形の壮大な楽曲の楽譜なのではという感じでした。

面白かったか面白くなかったかでいえば面白かったのですが、理解できたかという場半分も理解できなかったかなあと思います。これは読み込めば読み込むほど面白くなる本じゃないかなとも思いました。


もう一遍、ノアの箱舟などに代表される、世界中の洪水と箱舟の登場人物が、洪水のさなかに一堂に会して交流するという、世界中の聖書と神話に献花売るような短編が掲載されていて、これが短いながら面白かったです。

自分たちは神に選ばれた救世主だと思っていた賢者たちが、それぞれの神に絵r田ばれただけでありふれていたという流れと、髪の救済のはずの洪水の後、再生した人類が早々に頃居合を始める流れなどは、ものすごい皮肉というか、ブラックユーモアを感じました。


サンリオSF文庫以外では書籍化されていないようなので入手は難しいと思いますが、刺激的な読書でした。読んでいて楽しかったです。
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神田古本まつり&神保町ブックフェスティバル [本と雑誌]

先日より神田で開催されている古本祭り。今日の連休からは神保町ブックフェスティバルと合体して大規模な本のお祭りになっています。

神田古本まつり公式ツィッター:https://twitter.com/kanda_kosho

神保町ブックフェスティバル公式:http://www.kanko-chiyoda.jp/tabid/3936/Default.aspx
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あまりネット界隈の広告に力を入れていないイベントですが、要するに神保町の駅の周りで古本や新刊が舞い踊る、俺らのような活字ジャンキーには夢のようなお祭りです。

昨日の不採用の連絡から、割と本気でへこんでいて、腰が抜けたような状態だったのですが、これじゃいかんと、心の整理をつけるためにも外に出かけるかという感じでお出かけしてまいりました。

まあ、お出かけと言っても、そろそろ切り詰めて行かないと色々不味い状態なので、ほぼ冷やかしのつもりで。

でも少しだけ自分を甘やかして、少しだけお小遣い持っていきました(笑

学生時代、あの辺の予備校に通っていたので土地勘はありましたが、何気にまともに古書店巡りするのは初めてなので、特に下調べとかなしに散歩を楽しむ感じで神保町へ。

古本まつりの方は古書中心に、一部古い玩具や、多分蔵書印なのかな?でっかい石の印鑑などもありました。

古書ってのは探し方知ってる人なら、分類とかの法則を見抜けるのでしょうが、僕のような素人は並んでいるものを端から見ていくぐらいですので、検索効率は悪いです。

ですが見ているだけでも楽しいものですね。

近年、電子化の波で活字離れが騒がれて久しいですが、この催しに出かけてみると、驚くほどの人出が出ていて、みんなマニアですから一度陳列棚の正面に陣取ると、念入りに探すのでなかなか動かないで、いつしか黒山の人だかりに、といった青空店舗もざらでした。

流した経路としては、神保町の駅から郵便局方面に大通り沿いの古書棚を眺めてから、さくら通り、すずらん通りの出店屋台やブックワゴンを眺めていく、といった感じ。

ブックフェスティバルの方は、新刊書籍の安売り中心といった感じ。

神保町といえばカレーの街ということで、屋台では数々の腕自慢のカレー店が自慢の逸品を携えて、盛んに呼び込みをしているので大変活気がありました。もちろんカレー以外のメニューも充実しています。

いいにおいがしてきたところで、おなかも減ったので、せっかくだしどこかカレー店に入って食べるかあ、ということで少し歩いて、牛筋煮込みカレーを見つけて食べたらおいしかったです。辛さもちょうどよく、味も深みがあって、牛筋がトロトロでおいしかったです(^^)さすがカレーの街だなあ。

おなかも膨れたおかげか、戻った青空店舗で良い出会いが。

今回は、一応の目安として、石の写真の本(カイヨワとか見つかるといいなあ)と、ずっとのんびり探している古地図、後は小説と資料本辺りを探すかなというものを持っていたのですが、小説の方でいいものが。

相場よりだいぶ安かったのですが、それでも値が張るのでもう少し歩いて考えるかと一度棚の前を離れ、てくてく歩くと今度は国立科学博物館の石の本が目に留まりました。


鉱物観察ガイド (国立科学博物館叢書)

鉱物観察ガイド (国立科学博物館叢書)

  • 作者: 松原 聰
  • 出版社/メーカー: 東海大学出版会
  • 発売日: 2008/03/01
  • メディア: 大型本



めくった感じ、内容も充実で良い本でしたので、これも頭に置きながら、もう一回りして、例の書棚に戻り、物色。小説と、石の本を両方買うか、少し割合を増やして貴重な小説を1冊買って今うかしばし悩みますが、石の本は新刊でも手に入るということで、絶版の小説の方を買うことにしました。

行の電車、帰りの電車では求人票を熟読して応募を出しながら(今ではモバイルでもできるのですよね)の道行きでしたが、それ自体も次に向かう心の整理にできたので良いお出かけでした。

そうそう、神保町ではこんなのもやっていました。

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開催期間はこんな感じです

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刀剣乱舞好きな人は、押しの刀剣の足跡をなぞる古書を探しながら、まつりの神保町を散歩する休日を過ごすのも、いいかもしれませんね。


さてさて、今回の出会いはこんな感じ。

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僕のような、新参のSF読みにとっては宝石のような、価値と憧れを持つ伝説のレーベル「サンリオSF文庫」から一冊、アレッホ・カルペンティエールの「バロック協奏曲」をお迎えしてきました。

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背表紙がちゃんとサンリオSF文庫です。

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伝説は数々聞いてはいましたが、実物は初めて見ました。しかも自分の手元にあるなんて、夢のようです。大切に読もうと思います。今月のSFノルマ、再開の一冊はこれかなー。

他にバロウズの「ノヴァ急報」と「爆発した切符」もあって、面白そうで大分迷いましたが、ググってみたら、これは4部作ということだそうなので。

いずれ、4冊と出合うことを願いつつ、あえてページ数の少ない、140ページちょっとのこの本にしました。

サンリオSF文庫のサンリオは、あのサンリオです。

昔はかわいいキャラクターグッズだけでなく、出版もしていたのですよー。

もうひとつ、フレドリック・ブラウンの「シカゴ・ブルース」。

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こちらは大好きな作家ですが、新しい版も出ているので。


シカゴ・ブルース (創元推理文庫 146-15)

シカゴ・ブルース (創元推理文庫 146-15)

  • 作者: フレドリック・ブラウン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1971/01
  • メディア: 文庫



単にお買い得品としてw

おかげさまで、合わせてお小遣いの範囲で買えました(^^)

バロック協奏曲は、アンケートはがきやチラシ、補充注文カードも残っていて、帯以外は完品という奇跡の一冊です。前の持ち主から受け継いだ状態で、大事にしないとなあ。

良い散歩になったと思います。

古本屋を覗くのは好きです。ただ近所の商店街にあった古本屋がなくなってからなかなか機会がなく。

今日は出かけて良かったです。楽しかったし、本のにおいに包まれるのはいいですね。

そして帰宅したら、嬉しい贈り物があり。

次のスタートにするエネルギーをもらえました。

今日は、よい一日でした(^^)

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奇妙で美しい石の世界 著:山田英春 [本と雑誌]


奇妙で美しい 石の世界 (ちくま新書 1263)

奇妙で美しい 石の世界 (ちくま新書 1263)

  • 作者: 山田 英春
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2017/06/06
  • メディア: 新書



久しぶりの読書感想文になりますね。

僕がパエジナストーンをはじめとした模様石にハマるきっかけとなったコレクター、山田英春氏。

先日、氏の貴重なコレクションの放出が始まり(取材旅行の資金の足しにするんだそうです)、縁あって素敵なパエジナを分けていただいたのを機に、著作の方も読んでみました。

フルカラーで色とりどりの美しい石の写真を大量に収録している割には新書レベルの価格と、お値段的にもだいぶ良心的な一冊です。

内容は、主に瑪瑙を取り扱っています。産地によって種々様々な形式を見せる、色とりどりの瑪瑙。その産地ごとのエピソードや、ご自身の最終体験。ストーンハンターと呼ばれる発見者たちの足跡など、石に取りつかれた人々の悲喜こもごもと合わせて楽しむことができます。

瑪瑙はもともと好きな石で、好きなブレスレット工作でもよく使ううのですが(僕が使ってるカラフルな瑪瑙はおそらく染め瑪瑙になるのでしょうが)断面の景色を楽しむカットノジュールや、岩塊そのものの面白さなどは門外漢でしたので、瑪瑙の新しい魅力を教えていただける内容で面白かったです。

特に興味をひかれたのは、ストーンハンターと呼ばれる、採掘地を発見した人たちの足跡です。単位コレクターとしてミネラルショーで眺めているだけで走りえない、石にまつわる人の話。

華やかで高額な石の世界とは裏腹に、その多くは金銭的には不味しく厳しい人生を送っていたり、意志の知名度に反して発見者の情報はほとんど何もわからなかったり。

そこにどのようなドラマがあり、欲と人間模様が描かれたのか、石に記録された地球の記憶と違い定かではないものが多いのですね。あれこれ想像をたくましくしてしまいますが、この人たちがいなければ、これらの医師たちは僕らの目に触れることはなかったわけで。

正しく、冒険者の一生が、あったのだと思います。


石の詳細に関しては、瑪瑙の生成過程と共に模様ができる仕組みを解説してあったり、知識師としても得難い内容となっています。これがまた地球の大地のドラマを写し取っているようで面白いのです。

パエジナに関しては、その産地の事や歴史など、いくらかは知っていましたが詳しくは知らなかった話が網羅されていたので大変興味深かったです。

有史以来、さまざmな論争の的になった、化石やパエジナなどの「自然にはできそうもない姿かたちが写し取られた石」の歴史などは特に面白く。

僕の趣味であるTRPGでよくファンタジーの世界を取り扱いますが、そちらのシナリオに使えそうなエピソードなどもあって面白かったです。この辺、そのうちシナリオに仕立てたいなあ。


そして、何よりも魅力的なポイントは、豊富に収録された、各地の瑪瑙、パエジナ、セプタリアン、クリソコラ、などなどの、模様石の写真です。

その美しさ、不可思議な模様など、とても自然にできたものとは思えず。

人ならざる神の作りたもうた、と昔の人が信じたのもうなづける気がします。とてもきれいですね。

特に目を引いたのは、チャロアイトと呼ばれる、萌える紫の炎を閉じ込めたような激しい模様の石です。

もしお目にかかる事が出来たら非常な幸運と言えそうな希少な石ですが、こんな模様石なら大物でも一つ買って、部屋に飾っておきたいですねえ。




上述の、分けていただいたパエジナの写真、貼っておきます。
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本書では19ページ辺りにこのタイプのパエジナの写真が載っております。
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ロボットの時代 [本と雑誌]


ロボットの時代 〔決定版〕 アシモフのロボット傑作集 (ハヤカワ文庫 SF)

ロボットの時代 〔決定版〕 アシモフのロボット傑作集 (ハヤカワ文庫 SF)

  • 作者: アイザック・アシモフ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2004/08/06
  • メディア: 文庫



今日もタイピング矯正中。慣れてはきましたがそろそろ手の筋が痛くなってきましたな。

今月のSFノルマはアイザック・アシモフ。

かの巨匠の代名詞ともいえる「ロボット三原則物」の短編集です。

収録策には三原則物でないものも含まれていますがまあ、おおむねその作品です。

解説にもありますが、本作品集には、ロボットを利用して自分の欲望を実現しようと悪戦苦闘する人間たちが描かれています。ロボットが主題でありながら、ロボットを鏡と粗て人間を描いているようにも思えますね。

その人間たちが悪戦苦闘するのが、ロボット三原則に基づくロボットたちは、悪行をなすことができないという現実です。

この構図により、より多様な三原則解釈が描かれるのが面白いですねえ。

特に気に入ったのは、冒頭に収録されていた「AL76号登場す」ですね。

思わぬ事故からロボットとは縁もゆかりもない人の元に堕ちてきてしまった惑星開発用のロボットが、ロボット発見の懸賞金取得を目論んだその人物の命令の影響で、とんでもないものを作り出してしまうという、コメディな内容です。

分かりやすい棚ぼた思考と最先端のロボットの取り合わせがなんともユーモラスで面白かったです。

対して、最後に収録された「校正」などは、人ならざる存在であるロボットへの人間が抱く恐怖による悲しい人間の業が描かれており、こちらはもの悲しさを覚える良作でした。

エンターテインメントとしてよくできているので、割と夢中になって読んでしまいました。面白かったです。

良い読書でした。しばらくアシモフばかり読んでいたので、そろそろ違う作家の本を読むべきですかねえ。

タイタンの妖女 [本と雑誌]


タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫SF)

タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: カート・ヴォネガット・ジュニア
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2009/02/25
  • メディア: 文庫



今月のSFノルマはカート・ヴォネガット・ジュニア。

なんやかんやで読むのに〇〇一か月もかかってしまいましたが、なんだかよくわからない小説でした。

部隊は太陽系、主に地球です。

宇宙にいくつか点在する「すべての価値観が一つになるポイント」に突っ込んだがゆえに、時空を超えたあらゆる時と場所に波動減少として存在することになった大富豪、ウィンストン・ナイルズ・ラムファードは、髪のごとき全知を得て、信じがたい幸運”だけ”で大富豪となっている若者、マラカイ・コンスタントの人生に干渉します。

何かとラムファードに振り回される羽目になる彼ですが、最後もハッピーエンドと言っていいのか首をかしげる展開になっていきます。

全てを操っているかのように見えるラムファードも、実は…といったどんでん返しが用意されているなど、一筋縄ではいかない筋書きです。

呼んでい居て、時間も部隊もあっちこっちにとびとびになるので理解が追いつくのが大変で、このsカウ社は何が言いたいのかがよくわからない本旦那と思いましたが、開設を読むとそこも魅力なんだそうで。

多分、エンターテインメントとして読む本ではないと思います。

さてSFとしてはと言いますと、コメディのような内容ですがこれでかなりディープな設定が下に敷いてありまして。

先述のポイントの話もそうですし、オーバーテクノロジーとして登場する動力機関も、物理法則ではなく、概念機関のような仕組みのようで、かなり新鮮なイメージがあります。

大分とらえどころない本でした。よく考察するのが良い本なんだろうなあ。

鋼鉄都市 [本と雑誌]


鋼鉄都市

鋼鉄都市

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/08/25
  • メディア: Kindle版



今月のSFノルマはアイザック・アシモフ。こないだまで読んでいた「黒後家蜘蛛の会」の流れで。

あれと同じくのんびり一か月ぐらいかけて読んでました。現在絶賛ぷーたろー故通勤時間がないから文庫の類は読み進めるのが遅くなりますな。

さて本作。

アシモフの代表作だそうで、読み終えてみると確かにこれはすごいなあと思いますが、読み始めたときは、あれ、これ本当にアシモフ?ってぐらいあまり引き込まれなかったのが不思議です。

舞台は遥か未来の地球。

人々はシティと呼ばれる、外界から隔離され、増えすぎた人口を養うために高度に自動化、効率化された世界に住んでいます。

既に宇宙移民は行われており、結構な数の開拓惑星があるのですが、そこの人々との意識の隔絶は深刻で、現在閉塞しつつある地球をどうにか生き延びさせようと地球に戻ってきている宇宙市民たちは、宇宙人と呼ばれ、地球人たちからは何か違うものとみなされています。

そんな中、絶対不可侵のはずの宇宙市(宇宙人が済む隔離エリア)で、あるはずのない、あってはならない、宇宙人が殺されるという殺人事件が起きます。

地球は既に、宇宙人たちの持つ進んだ技術による戦力に対抗する術を持たない立場であり、この事件は一歩間違えば地球が滅ぼされるという、非常にデリケートな意味を持って物語の中に登場します。

主人公はシティの警察に勤めるごく普通の刑事の男。取り立てて優秀な名探偵タイプでもなく、ハリウッド映画に出てくるようなスーパーコップ的な強さも持ち合わせてはおりません。

普通の地球人らしく、自分たちの仕事を着実に奪ってゆくロボットが嫌いで、宇宙人とはかかわりたくないと思っており、降ってわいたこの厄介な事件捜査を早く放り出したくてたまらなくて、とはいえどうにかして自分と家族の生活を守るか、もう少しランクの高い階級の配給を受けられるようになれないかという考えを抱いた、いわば小市民的な男です。

彼のパートナーとして宇宙市側からつけられたのが、非常に成功に作られた、人間とは見分けのつかないロボットであるという事態が、一層彼の精神をさいなむのです。

そんな状態の彼ですから、鮮やかな推理で事件を解決することもできませんし、スカッと爽快に事態を解明することはできません。

むしろ疑心暗鬼や不安、恐怖心から、堂々巡りを繰り返し、大々的に間違った推理を展開しては手痛いしっぺ返しを食らいます。

その傍らで、パートナー(?)のR・ダニールは、常にそこにいるのです。


大筋としてはこんな感じですね。アシモフといえばSFという印象ですが、先述の黒後家蜘蛛の会を読むとミステリもかなりの物なのが分かります。

本作は、その両方が楽しめる、ある意味お得な物語とも言えそうです。

物語の根底にあるのは、アシモフ一流のロボット三原則であり、事件の真相についてもこの三原則が深くかかわっています。

それと同時に未来の管理社会や、宇宙人という、外側の視点からの地球の人々の姿や性質など、ある意味哲学的な考察などもあり、読みながら大分あれこれ思いを巡らすお話でした。

先に書いた、なかなか面白さが分からなかった点が実はこの本の一番面白いところであることが、読み終えてみるとわかるのですが、この主人公の男性が決してスーパーマンではないために、爽快な物語ではありません。

ですが彼の悩みや苦しみ、誤解や間違いはなんだか自分がやっているような気になってくるので、後半に行くにつれてだんだん話に没入していく感じが面白かったです。

彼の内面描写は、彼を通して我々一般的な社会人の姿を映し出しているようでもありますし、なんとも言葉にしづらい感触を与えられます。

読み終えてみると、SF小説ではあるのですが、なんてことはない、根底にあるのはロボットt、宇宙人という鏡を通して自分を見つめなおす物語であるのだと感じました。


読みながらいろいろと考えさせる小説でしたね。考えさせてくれる本は良い本です。

大変面白かったです。

なんとなく、このままm来月もアシモフを読もうかなあという気分ですが、まあ来月のことは来月考えます(笑

黒後家蜘蛛の会 [本と雑誌]

今月のSFノルマはアイザック・アシモフ…と、言いたいところですが。

本作はミステリー、推理小説になります。


黒後家蜘蛛の会 1 (創元推理文庫 167-1)

黒後家蜘蛛の会 1 (創元推理文庫 167-1)

  • 作者: アイザック・アシモフ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1976/12/24
  • メディア: 文庫



冒頭の紹介をそのまま引用しますと…

<黒後家蜘蛛の会>の会員-科学者、数学者、弁護士、画家、作家、暗号専門家の六人、それに給仕一名は、毎月一回晩餐会を開いて四方山話に花を咲かせていた。ところで、いったん話がミステリじみてくると会はにわかに活況を呈し、会員各自が素人探偵ぶりを発揮する。ところが最後に真相を言い当てるのは、常に給仕のヘンリーだった! 安楽椅子探偵の歴史に新しい一ページを書き加える連作推理短編集。SF界の巨匠アシモフが自信満々、読者に挑戦状を叩きつけるーさあ、あなたもミラノ・レストランに出かけて推理の共演に参加されよ!

僕がグダグダ書くより、この冒頭の紹介が本シリーズの魅力を余すところなく表現しております。

どうです?読んでみたいでしょう?(笑

面白いことは請け合いますよ。


地元の書店(ブックファースト)にて棚づくりがされていた「書店員が薦めるこの1冊」といったような棚をながめていて見つけて「え、あのアシモフって推理小説も書いてたの!?」とびっくりして手に取りました。

アシモフといえばSF小説、というイメージがありますが、多筆で知られるこの作家は、実にいろいろなものを書いているのは知っていました。ですが推理小説にまで手を出していたとは…

ぱらぱらめくってみて、上記引用した紹介を見て矢も楯もたまらずレジに走りました。棚に残っていた最後の一冊でしたから、かなり幸運に恵まれた出会いだったと思います。

そんな読書が面白くなかったはずがありません。

1巻がもう面白くて一気に読んでしまい、5巻まで刊行されていることを見るとアマゾンで全部注文。面白いので一気に読むのはもったいないと、ここ半年ぐらいかけてのんびり読み進めておりました。

この本の魅力は、六人プラスワンの黒後家蜘蛛達が世事やら役人やら政治家やらに、実に親近感のある文句を喧々諤々と並べたて、お互いを貶めあって口論し、まるで喧嘩してるかのようなやかましさをしながらも、なんだかんだで全員が全員を大切な仲間として捉えていることを(明言はされていませんが、行間からにじみ出る)疑いようもなく読者が信じられ、そして各員ひとかたならぬ知識や学問を備えながらも、全員が満場一致で認める会員随一の知恵者(そして本人ははにかみながら謙遜する)の人としての面白さ、魅力です。

短編集ですから、だまされたと思って1巻を書店で手に取り、最初の短編1つを立ち読みしてみてくださいな。あなたがそのままそれを持ってレジに走ることを僕は予言します(笑


短編集ですから、各エピソードで取り上げられるミステリ、謎というのは様々です。

日常のちょっとした不思議や、仕事で今まさに躓いている事柄、なくしもの、過去の人生におけるちょっとした謎。時にはどうにも当てがなく、弱り切った縁もゆかりもない行きずりの青年の悩みを解決することもありました。

既に解決済みのスパイ事件の謎解きを後から知恵遊びのようにあれこれ議論することもあり、決してちょっとした謎ばかりではないのもご愛敬。時には大きな成果を、人知れず挙げてしまうところも、なんとも誇らしいじゃないですか。

通して読んでみて、最も印象深くて好きなエピソードといえば、何をおいても第一話「会心の笑い」につきましょう。

作中もっとも謎めいた人物である、給仕ヘンリーが、いかなる人物で、どのような魅力を読者に与えてくれる存在であるかをたっぷりと味合わせてくれるこの1編は、まさにミラノ・レストランで供された極上のディナーのようで、一発で魅了されたものです。

他にも、3巻で披露された「ロレーヌの十字架」などは、あらゆる超能力のインチキを見破る事に長けた腕のいい手品師が全く気付かなかった、日常のちょっとした謎の意外な真相が明らかになったときは、件の手品師ともども呆気にとられたものでした。

その謎の正体も、アシモフ一流のユニークなユーモアにあふれていてなんとも好きなエピソードですね。

シリーズの魅力といえば、矢島高光氏、桶本康文による、実に楽しそうなアシモフ当人がデザインされたカバーデザインもそうですね。

作中読んでおりますと、アシモフは本作をライフワークのように、実に楽しく日常的に書いているとのことで、そのうきうきしながら執筆している日々や、「黒後家もの」に使えるネタを探している日常が想起されて親近感がわいてきます。

また、何よりも楽しみなのが、短編1編1編につけられたアシモフ当人による小さなあとがきと、冒頭の前書きですね。

カバーイラストもそうですが、アシモフ当人の筆からなるこれらは、アシモフがどれほど黒後家蜘蛛達を愛しているかが端的にわかるだけでなく、各エピソードを発表した際の裏話やちょっとした愚痴なども挟まれていて、作家アシモフの素顔が透けて見えまして、これまた実に楽しいのです。


アシモフ一流のユーモアやちょっとした毒舌、アイデア、茶目っ気により綴られる極上のディナー。

皆様も是非ご賞味あれ。

宇宙の戦士 [本と雑誌]


宇宙の戦士〔新訳版〕(ハヤカワ文庫SF)

宇宙の戦士〔新訳版〕(ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: ロバート・A ハインライン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/10/22
  • メディア: 文庫



今月のSFノルマはロバート・A・ハインライン。不朽の名作、宇宙の戦士です。

幾多の栄枯盛衰を経て、過酷な銀次経験と教練を終えた市民い飲み、市民権が与えられる、ある意味軍事国家となった地球人類。権力を持つ人間を一定のふるいにかけることで発展した社会が、虫のような以西知的種族との恒星間戦争を戦い続けている世界が舞台です。

主人公はリコ。若気の至りで市民権を得るため軍に志願し、戦闘降下を専門に行う機動歩兵部隊の兵士として育成され、降下し、戦っていく半生が克明に描かれています。

この作品をもっとも特徴づけていると言われるのが、起動歩兵の身にまとうパワードスーツであり、まとった人間を恐るべき殺りく兵器に変えるこのガジェットに、SFファンのみならず、多くのクリエーターやその卵たちに強烈な印象を与え、影響を残しました。

まあ前置きはさておき。この辺の話は方々でさんざん言われていることですし。

なんやかやで興味を持ちつつ、まだ読んでなかったので読んでみましたが、いやはや、おもしろいですね。

SF小説、軍隊小説、スペースオペラとして大変に面白く、エンターテインメントとして一種の完成形にあるのではとすら思ってしまいました。

小説に先立って、公開されたときに映画「スターシップトゥルーパーズ」を見ていましたが、当時は面白いと思いつつ原作からは乖離してるんじゃないかと勝手に思っていたのですが、原作読んでみてあれはかなり原典に忠実に描かれた映画なんだと認識を改めました。


スターシップ・トゥルーパーズ [Blu-ray]

スターシップ・トゥルーパーズ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • メディア: Blu-ray



原作を読んだ今なら、あの映画を倍楽しめるんじゃないかと思っています。

語り口がリコの一人称なので、見えてる視界はリコの芽や価値観を通したものに限定されるのですが、読んでいてその限界を感じないほどの世界の広がりを感じることができます。

この辺は読者の想像力を喚起するのがうまいのでしょうが、うーん、ハインライン凄いなあと。

パワードスーツや、同僚の機動歩兵の力強さと信頼、その裏付け。

バグの脅威と恐怖、だがしかし全く勝てない相手ではないぞという、一方的にやられてなるもんかという、人間のしぶとさ。

そこにいちいち実体感があり、信念があり、それゆえに引き込まれる面白さがあります。

沢山の人がこの作品に影響されるのもうなづける気がしますね。


非常に面白い本でした。あー面白かったー。

時計仕掛けのオレンジ [本と雑誌]


時計じかけのオレンジ 完全版 (ハヤカワepi文庫 ハ 1-1)

時計じかけのオレンジ 完全版 (ハヤカワepi文庫 ハ 1-1)

  • 作者: アントニイ・バージェス
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2008/09/05
  • メディア: ペーパーバック


今月のSFノルマはアントニイ・バージェス。

ビブリア古書堂の事件手帳で触れられていた本で、気にはなっていたのが現物が見つからず。


ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)

  • 作者: 三上 延
  • 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2011/10/25
  • メディア: 文庫


先日たまたま出かけた鎌倉(http://tenkamutekinomuichi.blog.so-net.ne.jp/2016-11-27)で完全版を入手したのでさっそく読んでみました。

オビにR-18を歌っている通り、大変道徳上よろしくない小説です。

主人公は無軌道な暴力に明け暮れる少年、アレックス。

盗みや喧嘩、殺し合いに暴行、麻薬と、悪いことは空気のように行い、テンションをあげていく、いわゆる「今時の若者」を、極端に克明に描いた人物です。

それなりに頭も切れるので、同じ世代との抗争やら警察沙汰やらをうまく切り抜けていきますが、ある時仲間の裏切りに会い、遂に刑務所に入ってしまいます。

そこで施されたのが、新法によって提唱された、人格矯正手術とでもいうべき代物。

薬物と強烈な条件付けにより、暴力などに凄まじい抵抗感を覚えるようにされて今うのです。

犯罪の減少のための切り札とされている、この新法は万人に歓迎されているわけではなく、人格を否定するものとして強力な反対運動も行われています。

アレックスハその双方から広告塔として運命を弄ばれていくのです。

上記の通り、内容は暴力に彩られた、大変刺激的な物です。

面白いかというと、おもしろいのですが眉を顰める内容でもあり、読者を選ぶ本と感じました。

ですが解説にもあるような、独特のスラングを多用したアレックスの一人称で描かれる世界は、妙なリアリティと不思議な世界観を持っていて興味深いです。

また一人称ですので、読者はアレックスの見ている世界を読み進めていくのですが、読みながら、たぶんアレックスじゃない人には、この世界は別のように見えているのだろうな、とも感じることができ、想像力が刺激される本でもありました。

正直今までに読んだことのない感触の本でしたが、これはこれで面白く。

眉をひそめながらも、結末まで一気に読ませてしまう勢いがありました。

視点により様々な側面を見せると想像させる世界。

しいたげる立場から弄ばれる立場への逆転。

などなど、いろいろな二面背反性を見せる作品でありました。

刺激的な読書ですね。


黒いカーニバル [本と雑誌]


黒いカーニバル (ハヤカワ文庫SF)

黒いカーニバル (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: レイ ブラッドベリ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/09/05
  • メディア: 文庫


今月のSFノルマはレイ・ブラッドベリ。

良くは知らないのですが(おい)何気に幻の短編集、復刻だそうです。

ブラッドベリといえば、以前読んだ「華氏451」が印象深く、どこか黒いヘドロのような情念を描く作家というイメージ。

今作品集はさらにその深淵ともいうべきぐろぐろとした内容で、なんというか魂が揺さぶられました。

というか読むタイミングが悪かったなあ。

ちょいと仕事回りでいろいろあって鬱々としている時期に読んでいたので、ダークサイドの直撃を受けてしまい。

面白かったのは確かなのですが、楽しめたかというと、ちとヘイトが強すぎましたな(苦笑

まともなときに読めば、また違う印象を受けるのでしょうが。でも読むの途中で読めようにも次が気になる短編集なので結局最後まで読まされてしまったのはさすがというか。

この作品集では、ブラッドベリの視点から描いた「子供たち」が多数描かれているのです、が。

そのかわいらしさや純粋さなどは欠片も描かれてはおらず、この作者は子供という生き物に恨みや憎しみでもあるのかとばかりに、子供たちの残酷な面をまざまざに描いているのがなんとも言いようがなく。

この作品集を読む限り、ブラッドベリにとって、子供とは、得体のしれない宇宙人か、それ以上に恐ろしく、おぞましく、残虐で、得体のしれないもののようです。

まあそんな内容なので、SF作品集というう体ではないです。解説にもありましたが、どちらかといえばファンタジー、それも日常の一枚裏側で繰り広げられる不可思議な世界が描かれています。

ですので「世にも奇妙な物語」的な、怪奇や現代伝奇といったテイストですね。

良くも悪くも印象的な読書でした。


さて、少し口直しがしたいので、次はアシモフの黒後家蜘蛛の会の続きを読むかな。1巻すげえおもしろかったので。


黒後家蜘蛛の会 2 (創元推理文庫 167-2)

黒後家蜘蛛の会 2 (創元推理文庫 167-2)

  • 作者: アイザック・アシモフ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1978/07/14
  • メディア: 文庫



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