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黒後家蜘蛛の会 [本と雑誌]

今月のSFノルマはアイザック・アシモフ…と、言いたいところですが。

本作はミステリー、推理小説になります。


黒後家蜘蛛の会 1 (創元推理文庫 167-1)

黒後家蜘蛛の会 1 (創元推理文庫 167-1)

  • 作者: アイザック・アシモフ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1976/12/24
  • メディア: 文庫



冒頭の紹介をそのまま引用しますと…

<黒後家蜘蛛の会>の会員-科学者、数学者、弁護士、画家、作家、暗号専門家の六人、それに給仕一名は、毎月一回晩餐会を開いて四方山話に花を咲かせていた。ところで、いったん話がミステリじみてくると会はにわかに活況を呈し、会員各自が素人探偵ぶりを発揮する。ところが最後に真相を言い当てるのは、常に給仕のヘンリーだった! 安楽椅子探偵の歴史に新しい一ページを書き加える連作推理短編集。SF界の巨匠アシモフが自信満々、読者に挑戦状を叩きつけるーさあ、あなたもミラノ・レストランに出かけて推理の共演に参加されよ!

僕がグダグダ書くより、この冒頭の紹介が本シリーズの魅力を余すところなく表現しております。

どうです?読んでみたいでしょう?(笑

面白いことは請け合いますよ。


地元の書店(ブックファースト)にて棚づくりがされていた「書店員が薦めるこの1冊」といったような棚をながめていて見つけて「え、あのアシモフって推理小説も書いてたの!?」とびっくりして手に取りました。

アシモフといえばSF小説、というイメージがありますが、多筆で知られるこの作家は、実にいろいろなものを書いているのは知っていました。ですが推理小説にまで手を出していたとは…

ぱらぱらめくってみて、上記引用した紹介を見て矢も楯もたまらずレジに走りました。棚に残っていた最後の一冊でしたから、かなり幸運に恵まれた出会いだったと思います。

そんな読書が面白くなかったはずがありません。

1巻がもう面白くて一気に読んでしまい、5巻まで刊行されていることを見るとアマゾンで全部注文。面白いので一気に読むのはもったいないと、ここ半年ぐらいかけてのんびり読み進めておりました。

この本の魅力は、六人プラスワンの黒後家蜘蛛達が世事やら役人やら政治家やらに、実に親近感のある文句を喧々諤々と並べたて、お互いを貶めあって口論し、まるで喧嘩してるかのようなやかましさをしながらも、なんだかんだで全員が全員を大切な仲間として捉えていることを(明言はされていませんが、行間からにじみ出る)疑いようもなく読者が信じられ、そして各員ひとかたならぬ知識や学問を備えながらも、全員が満場一致で認める会員随一の知恵者(そして本人ははにかみながら謙遜する)の人としての面白さ、魅力です。

短編集ですから、だまされたと思って1巻を書店で手に取り、最初の短編1つを立ち読みしてみてくださいな。あなたがそのままそれを持ってレジに走ることを僕は予言します(笑


短編集ですから、各エピソードで取り上げられるミステリ、謎というのは様々です。

日常のちょっとした不思議や、仕事で今まさに躓いている事柄、なくしもの、過去の人生におけるちょっとした謎。時にはどうにも当てがなく、弱り切った縁もゆかりもない行きずりの青年の悩みを解決することもありました。

既に解決済みのスパイ事件の謎解きを後から知恵遊びのようにあれこれ議論することもあり、決してちょっとした謎ばかりではないのもご愛敬。時には大きな成果を、人知れず挙げてしまうところも、なんとも誇らしいじゃないですか。

通して読んでみて、最も印象深くて好きなエピソードといえば、何をおいても第一話「会心の笑い」につきましょう。

作中もっとも謎めいた人物である、給仕ヘンリーが、いかなる人物で、どのような魅力を読者に与えてくれる存在であるかをたっぷりと味合わせてくれるこの1編は、まさにミラノ・レストランで供された極上のディナーのようで、一発で魅了されたものです。

他にも、3巻で披露された「ロレーヌの十字架」などは、あらゆる超能力のインチキを見破る事に長けた腕のいい手品師が全く気付かなかった、日常のちょっとした謎の意外な真相が明らかになったときは、件の手品師ともども呆気にとられたものでした。

その謎の正体も、アシモフ一流のユニークなユーモアにあふれていてなんとも好きなエピソードですね。

シリーズの魅力といえば、矢島高光氏、桶本康文による、実に楽しそうなアシモフ当人がデザインされたカバーデザインもそうですね。

作中読んでおりますと、アシモフは本作をライフワークのように、実に楽しく日常的に書いているとのことで、そのうきうきしながら執筆している日々や、「黒後家もの」に使えるネタを探している日常が想起されて親近感がわいてきます。

また、何よりも楽しみなのが、短編1編1編につけられたアシモフ当人による小さなあとがきと、冒頭の前書きですね。

カバーイラストもそうですが、アシモフ当人の筆からなるこれらは、アシモフがどれほど黒後家蜘蛛達を愛しているかが端的にわかるだけでなく、各エピソードを発表した際の裏話やちょっとした愚痴なども挟まれていて、作家アシモフの素顔が透けて見えまして、これまた実に楽しいのです。


アシモフ一流のユーモアやちょっとした毒舌、アイデア、茶目っ気により綴られる極上のディナー。

皆様も是非ご賞味あれ。
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